2022年6月から11月にかけて、職員を対象とした「対話型鑑賞ファシリテーション連続講座」を実施しました。実施報告および、参加者よりいただいたコメントをご紹介します。
愛媛県松山市にあるえひめこどもの城では、2年に1度「えひめ愛顔の子ども芸術祭」を開催しています。この芸術祭では全国から子どもの制作したアート作品を公募し、出品作品は園内に展示されることになっています。この活動には県内の児童館が大きな役割を占めています。
しかし、2021年度はコロナ禍にあり、芸術祭の開催が1年延期されることになりました。この期間を活用して何か今後につながる活動が出来ないかと考えたえひめこどもの城では、傘下にある児童館職員のスキルアップをめざすことにしたのです。
児童館の職員は来館する子どもとの関りが重要な役目です。子どもの活動を一層活性化させ、充実したサポートができるようにとの願いから「対話型鑑賞」に白羽の矢が立ちました。対話型鑑賞のファシリテーションスキルを応用しようというものです。
そこで、当センターにオファーがあり、本講座を開講する運びになりました。
2021年度はコロナの感染リスクを避けるため10回の講座をほぼオンラインで開催しました。好評のうちに閉講しましたが、芸術祭開催の2022年度も継続して取り組みたいとのオファーがありました。
今年度は幾分感染リスクも抑えられ、ワクチン接種も進みましたのでオンラインと対面開催の併催となりました。昨年度の受講者がメンターとして講座に参加してくださる回もあり、終始和やかな雰囲気の中にも、職員の皆さんの学ぶ意欲が伝わる有意義な研修の場になっていたと思います。
10回の講座を終了するにあたり、受講者の皆さんに「今回を振り返って、学びを漢字一字で表すとしたら?」というお題でコメントを頂きましたので紹介したいと思います。
《参加者コメントのご紹介》—-
まず漢字一文字で今回の講座を振り返ると「細」です。理由は作品を細かく観察することが大事というのはもちろんなのですが、鑑賞者の意見にも細かく視点をあてて深掘りをすることが大切ということをより感じたからです。特に子どもと対話する場合においては本人も自分の発言の理由がわからないことも多いと思うので、そこを細かく掘り下げることで自分でも気づいていなかった感情や考え方を発見できるようなサポートができればと思います。僕自身もまだ自分がどこからそう思うのかと言ったことが曖昧になっていることも多いので作品鑑賞に限らず普段の生活の中でも、自分の感じたことの根拠を深掘りしていきたいなと思いました。また、鬱陶しく思われない程度に他の人にも感じたことの深掘りをしていきたいです。
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昨年、対話型鑑賞に出会ってとても楽しそうに発表する子ども達をみて、また、とても深いところまで思いを進められているところをみて、こんなに子ども達が表現できる活動を自分もできたら・・・と講座に参加させていただきました。考えがスローテンポなもので、なかなかしゃべれなかったり、まとまらず発言がわかりにくかったりと、情けない場面ばかりでした。しかし、対話型鑑賞をしていくうちに、他の方と見えないところが見えてきたり、自分の話しを共感してくださるのがうれしかったりと、とても楽しい講座でした。子ども達の鑑賞をどのようにして深めるか、教えていただいたことを実践していけるように努力していきたいと思います。また、このファシリテーションは、すべての活動のなかでも、大切なものとして生きてくると感じています。児童館での活動の中でも温かく話しやすい場をつくること、考えを出しやすい問いかけ、生かしていきたいとおもいます。学びの成果を表す漢字一文字は、「喜」です。作品を観て、見つけた考えがまとまった時の喜び、話して聞いてもらった喜び、他の人の意見を聞いて見えないものが見えてきた喜び、からです。