8月5日(月)に島根県立石見美術館で行われた、島根県造形教育研究会による夏季研修会「生きのびるために−みる&コミュニケーション−」の講師として本センター所長・福と、研究員・三重野が登壇いたしました。
本研修会は、昨今教育界で叫ばれている「主体的・対話的で深い学び」をどのように捉え、実践していけばよいのかを学び、2学期以降の学習面に活かすことを目的に、教員の方々を対象として実施されました。
福の講演会のあと、福・三重野がナビゲイターとなり対話型鑑賞の実践、石見美術館の主任学芸員・廣田理沙氏による「しまねアートカード」を用いた体験授業など、多彩なプログラムにより、実践へのヒントが得られる研修になったのではないかと思います。
以下、ご参加いただいた教員の方々の感想を一部抜粋しております。
「美術によって人の人生は変わるのだなあと思いました。ただ、鑑賞するのではなく、そこに対話が生まれることによって新しい気付きや発見があり、アートによって人とつながることができることを感じました。学校でまだ一度も対話型鑑賞をやったことがないので実践してみようと思いました。」
「ただ「見えている」のではなく、意識して「見ている」ことで問いが生じ、対話が始まることを知り、当たり前のことを意識することで、より深い学びにつながっていくのだと感じました。自分が発見した問いや疑問に対してであれば、子どもたちはどこまでも追究していくと思うので、アートから発せられている問いを見つけられるように「見ること」の意識化をこれからの授業で取り組んでいきたい。対話型鑑賞で得られる体験を経験にできるようにさらに探求し、子どもたちと楽しめるようにしていきたい。」
「この10年くらいの間、何度も授業で対話型鑑賞に挑戦してきました。が、うまくいったことがありませんでした。今日の講演を拝聴し、私の授業の改善点が見えてきたように思います。ポイントは「根拠を言語化すること」でした。ただなんとなくフィーリングで、といった発言を繰り返しているだけだと深まらず、意見が散乱してしまう原因になっていくことも納得できました。お互いの意見を聴き、深めていくことは楽しく、もっと知りたくなる、もっと学びたくなる、この感じを生徒たちにも味わってほしいと本気で思いました。」
「対話型鑑賞について、大学生のことから知っていましたが、意味を深く考えたことはありませんでした。アートとの関わりは他者や自分自身との関わりと同じで、結果、自分自身と向き合うことにつながるのだと分かりました。」
「他者との関わりと関わりの持ち方が、この学習活動に反映されるであろうことを直感しました。「対話型鑑賞」の時だけではなく、ありとあらゆる活動において参加者に対してダイアローグの関わりを大事にしていきたいと思いました。」
「美術は美術が好きな人のためでなく、すべての人間に必要であるということを改めて学ぶことができた。鑑賞を通して学ぶべき「生きる力」が身につくということを考えると、私たち美術教師の役目は重要であることにプライドをもって授業に臨んでいきたい。」
島根県造形研究会によるレポートは、こちらからご覧いただけます。当日の雰囲気が伝わる写真もご覧いただけますので、ぜひご一読ください。
また、こちらの研修後は以前から共同で対話型鑑賞の実践を行なっている島根県・みるみるの会の研修にも参加をさせていただきました。島根県の美術教育に携わる方々からなるみるみるの会は、様々な美術館などで対話型鑑賞の教育普及を行なっております。ぜひ、こちらのブログもご覧くださいませ。