京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センターは、アートの可能性を多角的に探る研究活動を担う機関として、ニューヨーク近代美術館で開発された鑑賞教育プログラム「VTC(Visual Thinking Curriculum)」を日本に紹介した対話型鑑賞の第一人者、福のり子氏(現・京都芸術大学名誉教授)を初代センター長に2009年4月に設立されました。
京都芸術大学が2004年度から展開する対話型鑑賞教育プログラム「ACOP/エイコップ(Art Communication Project)」を広義のアート・コミュニケーションと捉え、人が人との間で生きていくために最も重要な要素であるコミュニケーションのあり方・育て方について美術教育の現場から問い直すというのが本センターの設立趣旨です。美術が社会の中で主体的に生きる人間を育てる教育ツールとしても有効であると考え、美術の分野からコミュニケーションの問題と「生きる力」の向上にアプローチしています。自立した鑑賞者・学習者の育成や私たちの考えるアートの普及促進を通じてアートの可能性を広げ、ひいては自らの力でみて、考えて、話し、聴くことのできる主体的な人材の育成に寄与していきます。
専門領域は人間科学・臨床心理学。心理臨床現場での実践を行いながら、人の持つ「自分」という感覚とコミュニケーションの関係を研究。2007年度より2年間、ACOPに参与観察者として参加。コミュニケーションという視点から、ACOPを通じて生じる人の変化について分析を行う。2009年京都芸術大学着任後は、学生への講義の傍ら、近年は美術館・博物館、教育関係者のみならず、企業においてACOPを礎としたセミナーを開催し、人材育成や組織改善に役立つとの高い評価を受けている。現在はACOPのファシリテーション・スキルを医療分野に応用しようという試みから看護教育などの医療従事者にまでそのフィールドを拡げ活躍中。
専門領域はアートプロジェクト・マネジメント。京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)芸術表現・アートプロデュース学科卒業後、フリーのアートコーディネーターとして活動を開始し、全国で開催されるアートプロジェクトにて作品制作・企画・広報など事務局業務に従事する。大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco]企画部門に所属(2012〜2021年)。2022年より現職。近年は、対話型鑑賞プログラムを活用した出張型鑑賞授業や鑑賞ツアーなど、アート作品と鑑賞者をつなぐプログラムの企画・コーディネートを多数手がけている。
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