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下関市立美術館「中高生のための対話型鑑賞会」

概要

山口県の有志の先生方で構成される対話型授業の研究会「むくの木の会」が企画し、下関市立美術館にて「中高生のための対話型鑑賞会」が開催されました。本センターから北野、本学アートリンクセンターから石山が講師として参加、市内からは約50名の中高生と、県内外から10名の先生方があつまり、会は大きな盛り上がりをみせました。鑑賞会は、中高生と先生方が一緒に参加する形になり、教師 / 生徒という関係性ではなく、「全員が生徒」の立場で進行していきました。

 

北野によるレクチャーの後、展示室を自由に対話しながら鑑賞し、各自が「オススメ作品」を選定。その後、グループでそれぞれがプレゼンして「グループ内のベスト・オブ・オススメ作品」を決定、「えっ、その作品のその部分気付いてなかった!」「もう一度みたい!」という気持ちが高まった状態で、展示室で再鑑賞を行いました。

 

再鑑賞の場面では、講師がナビゲイションを行わずとも、生徒たちはお互いに気になるところを積極的に聴き合い、非常に自然な形でグループ鑑賞が成立していました。また、本会は教員相互の研究会としての側面もあり、終了後の振り返りでは、多くの意見交換が行われました。以下に、先生方のご感想を一部ご紹介します。

 

生徒たちが生き生きとしていた。生徒たちから教えられたことがたくさんあった。鑑賞教育ということを意識していたにもかかわらず、自分はものを見ていなかった。生徒たちの方が素直な気持ちでいろんなことを見ているなと感じた。ぜひ、自分の学校の生徒たちをこの会に連れてきたいと思った。

 

教員の言うことを生徒たちが聞くのかと思いきや、逆に教員や高校生が、中学生たちの言うことを傾聴しようというふうになっていた。そして、オススメ作品をひとつに絞るのって、結構「大人のコミュニケーション」だけど、むしろ中・高生がそこをうまくやっていた。

 

先生方の声にもみられるように、今回の取り組みは美術館の教育普及、学校における鑑賞教育はもちろん、生徒の姿や普段のコミュニケーションなど「ひと」を見つめ直す機会にもなっていたのではないでしょうか。

開催年月日
2016 / 03 / 19
開催場所
下関市立美術館
メンバー
北野諒・石山潤